企業の人材育成・雇用Manpower training
日本の就活って、いろいろルールがあり、外国人留学生にとっては理解しづらいもの。本サイトでは、日本での就活を経験し、いま実際に日本の企業に勤めている先輩に根掘り葉掘りインタビューをしました! 第八弾は、東証ジャスダック上場企業である材料メーカーにお勤めのSさんにインタビューしました。母国の大学院のオファーを蹴り、日本での就職を選んだSさん。斡旋業者を通じての就活経験を語ってくれました。
S.X.さん
中国出身、日本語学科卒業
2017年卒 東証ジャスダック上場材料メーカー在職中
Q:Sさんは北京の大学を卒業して、そのまま日本に来て就職されたと思いますが、4年生の時にどのような就活をしていましたか?
A:厳密に言うと「就活」だけじゃなかったんです。私の場合、成績は結構自信あったので、そのまま大学院に進むという選択肢もありました。ただ、大学時代の交換留学の経験が半端なく楽しかったので、もう一度日本に行きたいという思いで、日本での就職を望んでいました。
Q:なるほど(笑)交換留学の経験は大きかったのですね。SさんのクラスメイトのLくんにも、インタビューしましたが、ウィーチャットで結構情報が共有されていたという話を伺いました。Sさんもそういう感じでしたか?
A:確かウィーチャットには情報来ていたと思いますが、私の場合それとはまた違って、北京にいる斡旋業者を通じて就職先を見つけていました。
Q:そうなんですね!「WORK IN JAPAN」とか新卒イベントとは違うものという理解でいいですかね?
A:あ、「WORK IN JAPAN」も私参加していたんですよ。当時ある程度進んではいたのですが、なぜか先方の会社さんから連絡が途絶えてしまって、「他の会社もあたらないとやばいかも」と思って、先ほど言ったその斡旋業者とつながったのです。
Q:えー、それはショックですよね…最終的にいい結果になって、日本で働く夢がかなったのでとりあえずよしとしましょうか(笑)
Q:斡旋業者を挟んでいる、というお話もあって、企業の選考過程は普通と少し違うと思いますので、まずそこをご紹介いただいてもいいですか?
A:私の場合は斡旋業者さんのほうで2回面接を受けて、最終面接は会社の上の方が中国に来てくれましたね。
Q:斡旋業者を含めて3回、と考えると日系企業の中で結構効率的ですね。それぞれ、どのような感じの面接でしたか?
A:えーと、まず斡旋業者さんにしてもらった1次面接からお話ししますと、たしか女性のスタッフさんで、日本語で面接されました。結構普通に自己紹介とか、自分の長所短所とかをまず聞かれて、大学でインターンをやったのでそれについても質問がありました。それからはキャリアプランですね。なぜ日本に行きたいのか、日本でどのようなキャリアを築いていきたいのか。
Q:やはりキャリアプランは重要視されているんですね。特に海外大卒に対しては覚悟が要りますし。
A:あとは日本式のエントリーシートにありそうな質問ですが、大学で一番成功したこととか一番つらかったこととかも問われました。
Q:なるほど。確かにエントリーシートっぽいですね!それを通して自分の長所をアピールするのがポイントかもしれませんね。二次面接はいかがですか?
A:二次面接は…日本人のHRの方でした。聞かれた内容としては一次の時とはそれほど違わなくて、なぜ日本に行きたいのか、どれくらい日本に働きたいのか、なんで日本が好きなのかというのが多かった記憶があります。あとはOfficeスキルですかね?
Q:エントリーシートだとあるかもしれませんが、Officeスキルを面接で聞かれたのは珍しいと思いますが、中国式エントリーシートだとそういう項目もないので確認の意味ということかなぁ。あとは実際今の若い世代ってスマホにハマりこんでパソコンが使えないことを危惧している可能性がありますね…
A:そうかもしれませんね。いまから考えるとこの二次面接、そこまで問題は多くなくて、時々雑談も交えながらという感じでした。
Q:「雑談力」も大事ですよね…もちろん試験の成績もそうですが、雑談から人柄が見えたり、日本語の応用のレベルがわかったりしますから。
A:本当にそうだと思います。最終面接でも、そういう雑談が多くて、雑談をしていくうちに緊張もほぐれ、私もかなり楽しめました。
Q:その最終面接についてもう少し詳しくご紹介いただいてもよろしいですか?
A:はい!会社の社長と、あと部長クラス2人で合わせて3人が中国に来てくださり、面接をしていただきました。質問に関しては大学の卒論についてとか、家庭についてとか。あとは中国でやったインターンの話もありました。雑談で好きな日本文化とか、私の留学経験に関してもお話しました。
Q:家庭について、というのは?
A:女の子なので、日本のほうで働くことについて家族は反対していないか?と心配されていたんですよ。
Q:へーそうなんですね…確かに男子だとあまり聞かれないですが女子だとそういう問題もありますよね。
A:あと少し語学力についても問われました。私大学の時に何気なく取っていたJ-TESTの準A級とTOEICが功を奏したようですが…(笑)
Q:すごい。あまりJ-TESTの準A級って持っている人が少ないですし、N1以上の能力証明にもなるので強いと思います。
A:私はそういった資格とかよりは、私という人を見てくれていた気がしました。あとは元々ここは落ちてももう悔いはないなと思っていたので、いまから思うとその余裕さと言いますか、心構えが大事だったなと思います。
Q:そうですね。余裕をもって、気軽に対応できたのは大きいと思います。
Q:実際に就活や日本での就労を経験して、日中両国間の違いとかは肌で感じておられると思いますが、そこに関しても少しお話いただけないでしょうか。
A:そうですね…まずは日本人の友達との付き合い方が全然違いますよね。国民性もあると思いますが、あまり中国人のように心を開いてくれない人が多いんです。そもそも、外国人とのコミュニケーションを経験したことがない、という人も正直かなり多いので、最初来たときは苦労しました。
Q:確かに。中国国内で日本語を学んだ時って、基本会う日本人もある程度中国語や中国の習慣をわかってくれるので、付き合いやすいですが、日本に来てから逆に私たちが少数派になってしまいますよね。
A:うんうん。なので、日本で就職したい!という人には、こういった中国よりは孤独になることも覚悟してほしいですね。わかりやすく言うと、向こうよりは少し暗い環境になりますから、メンタル的に強くならないといけないと思っています。
Q:日本人との付き合い方に注意…(メモ)うんうん。他は何かありませんか?
A:そうですね、日本で就職したという方は、必ず目的を持っていると思うんですが、例えば日本が好き。入りたい業界は日本が強い。とか。それは人それぞれだと思いますが、その「目的」を見失わないでほしいです。例えば高い年収を狙いたいのなら、年功序列ではなく成果主義の会社にするとか、それで会社選びの軸も変わってきますよね。
Q:いろいろ経験を語ってくださりありがとうございます。それでは最後に、今就活中の後輩、あるいは今後就活をする後輩に対して、伝えたいこととか、メッセージをいただきたいと思います。
A:はい!中国の大学を卒業して、そのまま日本で就職したいという人はたくさんいらっしゃると思います。日系企業の選考は、かなり「誠意」を見ていると思います。その会社に入って、長く働く気はあるかということですね。語学力に問題なければ、この「誠意」で会社を説得できれば、内定に大きく近づけます。もちろん、そのための準備は必要で、例えば業界研究をしてみて、日本と中国のその業界は何が違うを把握しておくとか。わからないことがあれば先輩とかに聞いてみるとか。
Q:うんうん。準備力ですね(笑)
Q:あとはさっきも言ったお話ですが、肩を下ろしてリラックスした状態で選考に臨んでほしいですね。そうすると、内定はきっと遠くはないと思います。
A:貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!