英語資格・検定・試験English exam
英文リーディングの苦手意識を払拭する
日本の英語教育の中で、リーディング(=読んで情報を得ること)と和訳はほぼ同義として扱われています。英文を読むとき、一語一句理解し、正確な日本語に訳せることが必要だと考えてしまう人が多いのも頷けます。英文を読むのが苦手だという人もたくさんいるでしょう。試験のときに、どうしても読む時間が足りなくなってしまう、という人もいます。しかしながら、リーディングスキルを伸ばすには、まず訳すという作業を止めなければなりません。文書の頭から一語ずつ意味を取り、一文ずつ和訳する、このような考え方を改めることからリーディングスキル向上は始まっています。英文と向きあうとき、私たちは自分にとって知りたい情報、必要な情報を持っています。その答えを探すのがリーディングであり、丁寧に日本語に訳すことではないのです。日本語であればこのような作業は日常的に、無意識に行っています。観たい映画の上映時間を調べる、ついでにその映画の批評も読んでおく、新聞やインターネットで検索しても全ての文字を読んでいるわけではありません。自分にとって必要な情報を探す、この感覚を英語でも活かせるようになると、英文リーディングが身近なものになることでしょう。
英文リーディングを効率的に進めるために二つのスキルが必要です。Skimmingという大意を取るスキル、Scanningという詳細情報を探るスキルです。例えば週末映画を観にいこうと決めたら、インターネットでいくつかの映画の情報に目を通すでしょう。どんなジャンルで、どんなストーリーで、出演者は誰で、時代設定はいつなのだろう・・・、自分がその映画を観たいかどうか判断できる程度の目の通し方をSkimmingと言います。どの映画を観るかを決めたら、上映中の劇場の場所、行きかた、上映時間、割引など細かな情報を得ようとします。この作業をScanningと言います。Skimには、もともと上澄みを掬うという意味があります。一方、コンピュータがウィルススキャンをする、などに使われるScanは、特定のものを探しに行くことを指しています。リーディング力を伸ばしていくには、どちらのスキルも必要です。自分にとって必要な作業が何かを考え、適宜選択していくことが求められます。
まずは英文を目にする時間を増やす事から始めてみましょう。海外のニュースサイトで気になる記事を読んでみましょう。日本に関することや、日本語で既に背景知識を持っているものであればSkimmingがずいぶん楽に行えることに気づくでしょう。海外で活躍するスポーツ選手の今シーズンの成績を追うのもお勧めです。もしもっと詳しく知りたいと感じた箇所があったら、そこは辞書を使って丁寧に読み解いていきますが、前後の文脈から推測できる語は飛ばして構いません。辞書への依存度を低く、自分の知識や直感、これまでの経験を最大限に活用するようなリーディングを心がけます。何度も出会う単語で、どうしても意味が気になるものがあれば、それは辞書で確認しますが、辞書を引かずとも前に進めるなら、どんどん読み進めるべきです。正確に訳せることよりも、自分にとって必要な情報を得ることのほうがずっと重要だからです。このような英文との接し方を続けていくと、半年、一年後英文リーディングがずっと楽に行えていることに気がつくでしょう。