ICT教育ICT Education
アメリカのICT教育の現状を把握し、そこから日本が今後国ぐるみで力を入れていくICT教育についての参考に出来ること、取り入れた方が良いことについて記載しています。
アメリカは多くの有名IT企業の本拠地であるだけでなく、かつ次々とIT業界でスタートアップ企業を生む国でもあります。学校現場でも当然のこととしてICT機器を使っての教育が行われています。現在アメリカでは小学校からPCを使って学校の勉強を進めることが日常化しています。例えばGoogleドライブを使って先生が宿題を伝えたり、文章問題などの回答を提出させたりします。このように土壌としてICT教育の導入がスムーズにいく環境であったことに加え、政府としてもオバマ政権時の2015年に「Computer Science For All」(https://obamawhitehouse.archives.gov/blog/2016/01/30/computer-science-all)の政策によってアメリカの学校全体でのICT教育のレベルアップが図られています。
IT企業のメッカとも言えるシリコンバレーを見てもわかるとおり、アメリカではICT教育の先にその知識を使って利益を生み出そうとする動きにつながっていきます。ICT教育でプログラミングなどに面白さを感じた学生は学生と社会人の境界なく学生の間でも次々と知識を実社会で活かそうとチャレンジをします。映画にもなりましたが、Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏などはとても有名な例です。これはアメリカの成功を賞賛したり再チャレンジしやすい社会環境、そして失敗してもそこから成功していく人間を素晴らしいと賞賛する国民性に拠るところも大きいと思います。しかしその前に小さな頃から学校などで長所を伸ばす教育が行われる学校環境が将来チャレンジする大人になるための重要なファクターになっていると言えるでしょう。
アメリカ社会と比較すると日本の社会は依然としてチャレンジするより安定することに重きが置かれる風潮があります。また学生と社会人についての区別も日本ではかなり明確に意識されます。最近でこそ日中は仕事をして夕方にMBAなどの実学を学ぶ学生が出てきましたがそれでも18歳ないしは22歳までは勉強する期間であり、勉強と起業などでの経済的利益の追求という両方を行うことに対してはあまり寛容な社会とはいえません。ITの世界では10年一昔という時間間隔でいると確実に世界の中で取り残されていきます。3年でIT技術は大きく変化します。そんな速い動きの中で安定を求めるのは非現実的であり日本の国際競争力の観点でも確実にマイナスに働くと思います。それゆえこれから国ぐるみで力を入れていく日本のICT教育では単に子供のITリテラシーを高めるのではなく、そこから子供たちの自由な発想を伸ばす、後押しする教育環境を作ることが必要になります。