ICT教育ICT Education
韓国のICT教育への取り組みと浮かびあがっている課題を把握し、そこから日本が行うべきICT教育について記載しています。
韓国では日本よりも早くICT教育の導入を進めており、2010年から総額2,000億円以上かけてICT教育の普及を進めていました。2015年までに1人1台のタブレット端末導入を目指して積極的なICT教育の推進を行っていました。電子黒板、デジタル教科書などの利用、インターネットを利用したクラウド教育サービス基盤整備など、ICT教育によって生徒のアクティブラーニングをより促進させるために国家として推進していました。
しかし、現在は当初目指した成果が得られていないとの意見が多く、韓国のICT教育は大幅な見直しの時期に来ています。デジタルデバイスの活用で生徒はレッスンを面白く感じる一方でその成果としての生徒のアクティブラーニングの姿勢は向上していないとの意見が上がっています。ITデバイスの活用により情報のネット検索など生徒のITリテラシーは向上しているようですが、学習内容の習得ができていなかったり、ITデバイスに依存することで課題解決能力が低下している現状が教育の専門家などから報告されています。教育現場へのICT導入が、民間企業の利益追求の場になっているとの批判も根強いようです。
韓国のICT教育の取り組みは政権ごとの力の入れ具合の差はありますが、基本的には国ぐるみで取り組み、海外へ技術輸出することも念頭においた世界標準を意識した戦略で動いています。例えば、行政手続き上の処理を電子化した行政機構である電子政府を韓国はいち早く始め、海外に監視カメラやセキュリティ分野でのIT機器、他に通関システム、特許、調達システムなどを輸出し外貨獲得の手段としています。ICT教育についても韓国で導入した内容をブランド化して海外へ輸出することを早い時期から念頭において動いています。日本でも今後文部科学省主導でICT教育を進めようとしていますが、ICT教育を海外へ輸出するという戦略は持っていないと思います。日本国内でのみの導入を視野に入れるためかつて携帯電話などで見られたガラパゴス化がICT教育でも起こるのではないかと懸念されます。日本はICT教育ではやや後発な国ではありますが、逆にそのメリットを活かして他の国でのICT教育の課題をしっかりと分析して効果的なICT教育を進めることが出来ると思います。