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留学の新常識Study abroad

アメリカ大学留学最新動向2016-2017年版

アメリカの大学への留学に関する最新の統計情報を提供しているIIE(Institute of International Education)が、この度最新2016-2017年版のOpen Doorsを発表しましたので、ご紹介します。

アメリカ大学留学最新動向2016-2017年版

全体の留学生数は増加したが、伸びが鈍化

アメリカの大学等の高等機関に属する留学生の数は、2016-2017年度は1,078,822人となっており、昨年に続いて増加しています。ただ、増加率は3.4%と、2009-2010年度以来の低増加率となっています。

増加率が低くなったのは、直近の新入生数が減少したためです。昨年の新入生数と比べて2.9%の減少となっており、リーマンショックがあった2009-2010年度以来の減少率を記録しました。

留学生が減少した教育レベルは、主に2年制のコミュニティカレッジが開講する短期大学士号(Associate)の取得課程や、学位取得のできない課程において特に顕著です。

短期大学士号取得課程における新入生数は、昨年と比較して9.4%ものマイナスとなっています。長年続くコミュニティカレッジ離れが、2016-2017年度は特に顕著だったようです。2004-2005年度に留学生全体の14.5%が在籍していたコミュニティカレッジは、2016-2017年度は8.9%にまで低下しています。

一方、留学生数が増加した大学は、研究活動がもっとも盛んな研究型大学(5.5%増)、小規模修士課程大学(5.5%増)、学士課程大学(4.2%)となっています。

今後の予測:2017-2018年以降しばらくは減少傾向が続く

大学附属英語コース(Intensive English Programs)における留学生数は、学部課程における今後の留学生数を予想するための指標として使われます。学部課程に進む前に、多くの留学生が大学附属の英語コースで学ぶためです。

大学附属英語コースの学生数は、40,877人から30,309人に減少し、たった1年の間に25.9%ものマイナスとなっています。

国別で見ると、中国16.0%減、サウジアラビア45.2%減、韓国13.2%減、ブラジル56.2%減、クウェート30%減、ベトナム35.6%減、コロンビア21.6%減、ベネズエラ29.8%減、タイ16.8%減、フランス10.4%減、イタリア26.2%減、インド29.7%減、スペイン33.7%減、オマーン30.0%減などとなっています。

大学附属英語コースの学生数が上昇した国はほとんどありませんが、メキシコ39.5%増、ドイツ11.7%増、パナマ13.1%増、ネパール83.3%増となっています。

アメリカの大学に在籍する留学生の半数を占める中国とインドの留学生が、大学附属英語コースにおいて大幅に減少していることから、今後数年間はアメリカの大学に在籍する留学生総数が減少していくことが予想されます。

なお、日本人留学生数は0.8%減となっており、他国のトレンドとは異なり、安定した漸減傾向が続いています。

工学や数学・コンピュータサイエンス系が人気の傾向

留学生が履修している専門分野の中では、工学(エンジニアリング)や数学・コンピュータサイエンス分野の履修者数が特に増加傾向にあります。

履修者が増加傾向にある専門分野としては、天然資源12.4%増、コミュニケーションテクノロジー22.9%増、工学テクノロジー18.9%増、輸送9.8%増、軍事テクノロジー130.2%増、建築8.5%増、コンピュータ・情報科学18.2%増、数学・統計学17.3%増、学際学14.4%増、料理アート等32.8%増となっています。

一方、履修者が減少した専門分野としては、教育学7.6%減、歴史学18.3%減となっています。

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