留学の新常識Study abroad
スポーツに取り組んできた元アスリートや、アスリートをサポートするのが好きな人に人気なのが、運動学やアスレチックトレーニング(アスレティックトレーニング)学専攻です。どちらも似た専攻ですが、将来やりたい仕事によって、留学プランが少なからず異なることになりますので、注意が必要な専攻です。
運動学(Exercise ScienceまたはPhysiology)は、人の身体の動き、運動時のパフォーマンス、運動と健康、栄養などについて学ぶ学問です。
運動学は他の一般的な専攻の多くと同様に、リサーチ・研究などもカリキュラムに含まれていることが一般的です。リサーチ、講義、実践型の教育、インターンシップなど現場経験など、様々な角度から運動について体系的に学びます。
運動学といっても幅広く、カリキュラムの中では栄養学、スポーツ、研究手法、データ分析、フィットネス管理、生物力学、スポーツコーチング、解剖学、心理学、統計学、数学、生物学、化学等、様々な学問分野を学ぶ、学際的な学問です。
運動学専攻者が就く一般的な職業としては、フィットネストレーナー、パーソナルトレーナー、スポーツセンターのマネジャーなどがあります。また、大学院でアスレチックトレーニング学、理学療法、作業療法、医師助手、カイロプラクティック等の専門を学びたい人は通常、大学院出願に必要な単位を取得するために学部課程で運動学を専攻します。
運動学専攻は、標準4年間で学部課程を卒業します。なお、運動学専攻で卒業するだけでは、NATAのBOC(Board of Certification)試験は受験できないため、アスレチックトレーナー(AT)の資格を取得することはできません。
アスレチックトレーニング学は、簡単に言えば、アスリートをサポートするための専攻です。運動について幅広く学ぶ運動学と異なり、アスリートのためのサポートについて特化して学ぶ、より専門的な学問です。
アスレチックトレーニング学では、怪我や病気等の予防、緊急時の手当て、現場での診断、治療目的のリハビリテーションなどについて学びます。運動学のような、リサーチをするなどの学問的な要素はほとんどなく、ほとんどの学びはスポーツの現場ですぐに使える実践的な内容となります。
アスレチックトレーニング学は、必修単位が極めて多く、学部課程の場合は卒業までに標準で5年間かかります。なお、学部課程のアスレチックトレーニング学専攻は、2022年秋学期以降は廃止されますので、今後は標準2~3年で修了できる修士課程に進学する必要があります。この場合、学部課程は通常、運動学専攻で卒業します。
現場での実践経験が重要視されるため、専攻に入る前の条件として数百時間、専攻に入ってからの数百時間、その他平日や土日など、授業のない時間帯は大抵スポーツの現場で無給インターンシップなど数千時間もの実践的な経験を積むことになります。
アスレチックトレーニング学を履修する際には、CAATEが認定する大学で履修することが極めて重要です。
CAATE認定を受けている大学のアスレチックトレーニング学を修了すると、NATA(全米アスレチックトレーナー協会)公認資格であるアスレチックトレーナー(AT)の認定を受けるために合格が必要となる、BOC試験の受験資格が得られます。BOC試験の合格率は発表されているため、基本的には合格率の高い大学で履修するのがよいでしょう。
運動学の場合は、大学によってカリキュラムが異なりますので、各大学ウェブサイト等をよく確認するとよいでしょう。スポーツが盛んな大学は、運動学専攻も充実しているケースが多いです。
アスレチックトレーニング学では、CAATE認定を受けている大学であること、BOC合格率が高いこと、特に興味のあるスポーツがあるのであれば、そのスポーツが盛んな大学や周辺地域であること等を考慮するとよいでしょう。